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法曹養成制度改革の更なる推進?!

2015.07.24

 

 平成27年6月30日付法曹養成制度改革推進会議の「法曹養成制度改革の更なる推進について」(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hoso_kaikaku/pdf/honbun.pdf)には、
 
 「これまで直近でも1,800人程度の有為な人材が輩出されてきた現状を踏まえ、当面、これより規模が縮小するとしても、1,500人程度は排出されるよう、必要な取組を進め、さらにはこれにとどまることなく、関係者各々が最善を尽くし、社会の法的需要に応えるために、今後もより多くの質の高い法曹が輩出され、活躍する状況になることを目指すべき」とあります。

 しかし、そもそも平成14年3月14日の閣議決定では、年間司法試験合格者数3000人が目指されていました。この閣議決定を実現に移すべく司法試験合格者数を激増させようとしたのに、司法試験合格者数2000人強までしか増やせなかったことについての反省や総括はありません。
 新人弁護士の就職難、OJT不足、不祥事案や倫理的に問題ある事案の急増等弁護士の質の低下、公益活動の衰退等々司法試験合格者増による弊害については等閑視を決め込んでいます。

 自画自賛しかありません。

 この記載内容からは、第2「今後の法曹人口の在り方」において、何故「1500人」との数字が出てきたのかがわかりません。

 実際のところ、この「今後の法曹人口の在り方」は、どんなに司法試験合格者数を減らしたとしても1500人未満にはしないというところに眼目があります。
 
 法科大学院志願者及び法科大学院入学者の数は右肩下がりで激減しています。
 今後もその傾向は続くでしょう。
 当たり前です。
 莫大な投下資本と時間がかかるのに、その投下資本を回収できない業界である司法界を誰が目指すというのでしょうか。

 法科大学院の修了割合は、約68%で推移しています。
 法科大学院の学生募集停止は、29校に上りました。
 今後も学生募集停止を決める法科大学院はでてくるでしょう。

 年間の法科大学院修了者数が1000人を切るのは、そんなに遠い将来ではないと思います。
 法科大学院終了後、5年間は司法試験が受けられるとしても、司法試験受験者数自体が1500人を切ることさえ十分あり得ます。
 
 放っておいても、司法試験合格者数は1500人程度にはなるのです。
 
 すなわち、「縮小するとしても、1,500人程度は排出されるよう」というのは、法科大学院関係者の危機感の表れなのです。
 
 推進会議の決定は、今後、司法試験合格者数・法曹人口について、どんなに社会的弊害が起きようとも「1,500人以下にはしない」との決意表明ともいえます。

 顧問会議は、法科大学院関係者の集まりだったのですから、当然に予想された結果と言えるでしょう。

 しかし、果たしてこれが法曹養成制度改革、司法制度改革を真面目に検討する審議会のあるべき姿と言えるのでしょうか。
 
 私は言えないと思います。
 
 

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