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まずは雇ってあげたら?

2013.11.30

 

 相も変わらず、「弁護士の需要は山ほどある」と推進派の方々は仰っています。
 

 それなら、企業や地方自治体、あるいは、海外の機関などに他人に頼らず、まずは新人弁護士をあなた方が雇ってあげてはいかがですか。

 弁護士の需要が山ほどあるのであれば、何故、毎年毎年新人弁護士の就職先がこれほどまでにないのですか。
 あなた方は、新人弁護士がどれほど就職活動に苦労しているか知っているのですか。
 就職活動のために全国の何十もの法律事務所に履歴書を送り、面接にこぎつけるまでにも至らずに断られ、全人格を否定されたような絶望的な気分になる後輩の気持ちをあなた方は考えたことがあるでしょうか。

 日弁連の山岸健司会長は、「企業や行政で働く弁護士も増えています。」「立法提言も弁護士会、弁護士の重要な役割です。」「国際化を反映して各国の弁護士会が情報交換を行う国際会議が増えています。」等々と弁護士が企業・行政・国際的舞台で活躍する場が満ち溢れているように喧伝しておられます。

 しかし、行政で雇われる場合には任期が付いており、永久就職ではありません。
 その任期も以前は5年任期が多かったのですが、最近は2年か3年任期といった短期間の任期が増えています。

 
 私の知っている修習生は、某地方公共団体から内定をもらったにもかかわらず、就職浪人を覚悟して未だに法律事務所への就職活動を行っています。

 私はその修習生に「行政で勤める方が給与は定年まで保証される。退職金もあるし、年金もあるし、病気になっても安心で将来的には安定する。弁護士になっても何の保証もないし、弁護士業界に未来はないから、地方公共団体に就職した方が良いと思う。」と行政に勤めることを勧めました。 ところが、その修習生は、きっぱりと首を振り「僕は、弁護士になりたくて法科大学院へ行き、司法修習の過程に進みました。そこに行っても通常の公務員になるだけだと分かった以上、そちらには行きません。公務員や会社員になりたければ、この道には進みませんでした。」ときっぱりと断られました。
 私は、それ以上、何も言えませんでした。
 

 「弁護士増員政策は間違っていなかった。」「ただ急増のスピードが急すぎただけ。」などと仰る前に、まずは、あなた方が新人弁護士をすべて弁護士として受け入れて弁護士としての実務教育を行うべきです。

 無責任な言動はもういい加減やめて戴けないですか。

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