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悪質な法曹養成制度検討会議の最終とりまとめ

2013.09.14

 

 9月10日に発表された今年の司法試験合格者数は2049人でした。

 先日のブログで書いた通り、法曹養成制度検討会議(以下、「検討会議」と言います。)の取りまとめに「司法試験合格者を絞るつもりはない」と書いてあるのですから、『2000人』合格者数は当然予想された結果だったと思います。
   
 それにしても、この検討会議の取りまとめ(以下、「本取りまとめ」と言います。)は、パブリックコメントを完全無視した、きわめて非民主的な取りまとめであることがわかりました。

 一聴了解さんのブログ(http://ittyouryoukai.cocolog-nifty.com/)によれば、給費制復活を求めるパブリックコメントは91.53%に上っていました。ところが、本取りまとめでは、あくまでも司法修習生の貸与制を前提とした弥縫策的経済的支援を記載するにとどまりました。
 パブリックコメントの9割以上の圧倒的多数が給費制復活を求めているのに敢えてパブリックコメントを無視したのです。

 また、法科大学院に関するパブリックコメントのうち、「法科大学院廃止」を求める意見は37.04%、「法科大学院修了を司法試験受験資格要件としない」ことを求める意見は39.75%、「上記二者の双方の採用、又はいずれか一方の採用」を求める意見が3.18%をそれぞれ占めており、約8割の人が法科大学院に批判的意見であったのです。これに対し、法科大学院に関する法曹養成制度検討会議の中間とりまとめに賛成する意見はたったの10%に過ぎませんでした。
 ところが、本取りまとめは、あくまでも法科大学院修了を司法試験受験要件とすることを前提とした意見となっており、パブリックコメントを完全に無視した内容になっています。

 また、法曹人口についても「3000人目標を維持すべき」とのパブリックコメントはたったの12.34%、「数値目標2000人程度、現状程度」との意見は、わずか1.14%しか存在しませんでした。
 これに対し、年間司法試験合格者数について、3000人目標撤回を前提として1500人以下へ合格者数の減少を求めるパブリックコメントは62.45%にのぼり、「3000人目標を撤回した上で数値目標なし」との中間取りまとめに賛成する意見は、1.76%に過ぎなかったそうです。
 
 パブリックコメントは、平成25年4月12日から同年5月13日まで募集され、最終とりまとめが行われたのは、同年6月26日です。
 パブリックコメントは、最終とりまとめに間に合うように募集期間が設定されたはずです。法務省の人員体制等からして、全てのパブリックコメントをワープロ打ちして6月の法曹養成制度検討会議に資料として配布することなど容易いことであったはずです。
 全てをワープロ打ちしなくても、少なくとも意見分布等の状況を紹介することくらいはできたはずです。
 ところが、法曹養成制度検討会議では、パブリックコメントの内容や意見分布等が紙面で資料として配布されることはありませんでした。
 パブリックコメントの内容を和田委員ほか多数の人が情報公開請求しなければ、パブリックコメントの内容は公開されることなく、国民の声が永遠に葬り去られようとしていたのですから、空恐ろしい話です。

 法曹養成制度の会議におけるパブリックコメントの紹介のされ方が議事録に記載されていますが(http://www.moj.go.jp/content/000112269.pdf)、会議では必ずと言ってよいほど中間的取りまとめに賛成するパブリックコメントの方から先に詳細に紹介し、圧倒的多数の反対意見は「このような意見もありました。」と一言で済まされています。パブリックコメントにおける圧倒的多数意見があたかも少数意見であるかのように印象付けるように細かい細工が施されて紹介されているのです。
  
 パブリックコメントを募集する際には、氏名公開をすることを覚悟して書くように敢えて付言することにより、中間的取りまとめに反対する意見を出しにくいようなハードルが設けられていました。それにもかかわらず、中間的取りまとめに反対意見が圧倒的多数を占めていたのですから、氏名公開をするかのごとく記載していなければ、更に反対意見が多数寄せられていた可能性もあります。

 これほど多くのパブリックコメントが寄せられたのに、そのパブリックコメントを無視するのは、あまりにも酷いです。
 何のためのパブリックコメントだったのでしょうか。
 国民の声を一体全体何と思っているのでしょうか。

 平成の時代に、国民の意思を無視した非民主主義的運営がこれほどまでにあからさまに堂々と行われていることに開いた口がふさがりません。

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