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法科大学院アンケート結果(その2)

2012.05.24

 

 全国の弁護士に対する法科大学院アンケートでは、予想された通りの結果がでました。

 アンケート結果を期別で見てみると、歴然と評価が分かれます。

 例えば、①法科大学院の目的が「多様で質の高い法曹養成」とされている点の達成度に関する質問については、全体で見ると「達成している」2%、「相当程度達成している」10%と肯定的評価が12%で、「余り達成していない」27%、「達成していない」40%と否定的評価が67%です。
 しかし、新司法試験が始まる前の旧制度下の弁護士だけで回答割合を出すと、「達成」1%、「相当程度達成」5%と肯定的評価が6%にしかならず、逆に「余り達成していない」26%、「達成していない」48%と否定的評価は74%に上昇します。新司法試験下の弁護士だと「達成している」26%、「相当達成」23%と肯定的評価は49%に上り、「余り達成していない」32%「達成していない」19%と否定的評価が51%に下がります。

 ②法科大学院制度については全体では、「賛成」25%、「反対」50%、「わからない」19%ですが、旧法曹に限ると「賛成」15%、「反対」61%に過ぎないのです。他方、新法曹に限っても「賛成」の割合は51%にとどまります。

 また、③法科大学院制度を廃止し、2年間の司法修習制度を復活させることについて、新旧制度全体の回答割合を見ると「賛成」61%、「反対」21%ですが、旧法曹に限ると「賛成」72%、「反対」13%となります。他方、新制度の弁護士に限ると「賛成」30%、「反対」39%と逆転するのですが、「わからない」との回答も22%ときわめて高いので、積極的に反対する割合は4割を切ってしまいます。
 
 このように旧試験制度下での弁護士の認識と新司法試験下での弁護士の認識とでは、法科大学院に対する評価はかなり異なります。

 法科大学院出身の新司法試験制度を経た弁護士からすれば、自分たちが経てきた制度を肯定的に捉えたいというのが人情でしょう。

 しかし、それでもなお前述のとおり①新法曹のうちの半数以上の方が「法科大学院制度の当初の目的が達成されていない」との評価を行い、③「法科大学院制度を廃止し、2年間の司法修習制度の復活」することについて積極的に反対する人が4割を切るのですからどう考えても法科大学院制度を受験資格とする新司法試験制度が成功したとは言えないでしょう。

 というよりは、弁護士の評価としては、「法科大学院は失敗だった」というのがこのアンケート結果です。

 弁護士の評価以前に法科大学院入学志願者自体が急激に減っており、この調子で減り続けると司法試験合格者年間3000人に年間法科大学院入学者が満たないという事態が目前となっているのですから、法科大学院制度の失敗は火を見るより明らかとなっていると言えましょう。

 これら現実を前にしても改めようとしない人たちには、どのような責任を取ってもらうべきでしょう。

 

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