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何故1000人なのか。

2011.09.19

 

 近弁連理事には本当に失望しました。

 「会内で議論していない」と言いますが、これまでも各弁護士会で議論していない議題が近弁連大会の議題になったことは多々あります。その際、「会内で議論していないから」との理由で議題とされなかった例を少なくとも私は聞いたことがありません。
 たとえば、今回の近弁連大会で議題にする他の議題について、果たして各単位会で過去において議論されたものだったのでしょうか?他の議題についても「会内で議論されていないから」という理由で議題にすることに反対する理事がいたのでしょうか?

 前回も書きましたが、会内で議論していなくても、近弁連大会で議題にすれば、そこで会員が議論できます。議題にしなければ、議論する場は永遠に訪れないでしょう。 

 では、何故年間司法試験合格者数は「1000人」であって「1500人」ではないのでしょうか。

 実は、これまでの単位会(連合会)の決議では、司法試験合格者数について1500人とする会と1000人とする会に分かれています。大分県弁護士会の決議で7つ目の単位会(連合会)で1000人決議が出たことになります。最近は、1500人よりも1000人の方が優勢のようです。今秋あと2つの単位会(連合会)でも1000人決議が議題とされる予定になっていると伺っています。

 私は、「法曹人口問題についての一考察」では1000人と書きましたが、最近では1000人でも多すぎると思っています。
 というのも、法曹需要が日本経済の停滞に伴い、きわめて厳しいものであるとの予測が立ちつつあるからです。
 地方裁判所における民事事件の約半分が過払事件です。
 その過払事件は、この1・2年で収束しますので、半分の事件を激増する弁護士で対応することになります。
 年間1000人にしても毎年弁護士が500人ずつ増えていき、低位予想でも5万人近くなるとの推計が出ています。1500人を続けていくと6万人以上、現在の倍以上の弁護士が社会に出現する推計になっています。

 当然のことながら、経営難により破たんする法律事務所が増えていくでしょう。勤務弁護士や事務員の大量解雇も予想されます。就職先がなく、オンザジョブトレーニングの機会に恵まれず、いきなり独立開業する弁護士も大量発生するでしょう。

 その先、一体全体市民に対してどのような弊害がもたらされるでしょうか。また、弁護士が公益的活動ができなくなることにより社会にどのような弊害がもたらされるのでしょうか。あるいは、弁護士による不祥事が増え弁護士自治が崩壊することにより公権力に対して意見する団体が存在しなくなったとき、社会にどのような弊害がもたらされるのでしょうか。考えただけでも恐ろしくなります。

 今年の新司法試験合格者数は2063人でした。
 来年の合格者数を1000人にしても、司法修習期間が1年ありますので、現在生み出される弁護士数よりも減るのは、その1年後です。

 早く何とかしなければ・・・。
 一刻の猶予もないのです。

 

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