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2人目のイソ弁

2011.06.10

 

 6月1日から、2人目の「イソ弁」さんに来て戴くことになりました。
 白川聡子弁護士です。白川弁護士は、まだ緊張しておられるようですが、いずれ近いうちに当事務所でも存分に力量を発揮してくれるものと期待しています。皆様におかれましては何卒宜しくお願い申し上げます。
 
 ただ、「イソ弁」といっても、一般の人には、何のことかさっぱり分からないと思います。
 「イソ弁」という言葉は、一般用語にない、法曹界特有の言葉で「居候弁護士」から来ているそうです。
 「居候」=昔の書生さんがイメージされた造語のようですが、居候(=書生さん)と言うことならば、固定の給料を払わない「ノキ弁」の方が近いようにも思います。

 「ノキ弁」は、事務所の軒先を借りる弁護士という言葉を省略してできた造語です。

 「ノキ弁」にはいろいろな形態があるようで、事務所事件の下請けの仕事をしたら、その歩合に応じて報酬の何割かを分けてもらう弁護士や椅子と机を貸してもらうだけで事務所の事件を手伝うことのない弁護士もいるようです。
 「ノキ弁」の中には、無償で事務所の机と椅子やコピー・ファックス機を借りる弁護士以外に、机を置かせてもらい、事務所のコピー・ファックス機を使用させてもらうために毎月事務所に固定費用を支払う形態もあるようです。
 「ノキ弁」には、諸条件が組み合わさった様々な形態があるようで、その実態はよく把握できません。

 「ノキ弁」に対し、「イソ弁」は、固定給を払って事務所の仕事を手伝ってもらう弁護士のことで、この点で、固定給を支払わない「ノキ弁」とは異なります。

 「イソ弁」は、事務所から給料を支払ってもらいながら、先輩弁護士の指導教育が受けられます。
 「ノキ弁」の場合、事務所の先輩弁護士からの指導教育を受ける場合もあれば、受けない場合もあるようです。
 
 司法改革前には、「ノキ弁」という存在は、私の知る限り存在しませんでした。
 未だにその実数はつかめません。
 外形上は、普通の「イソ弁」との区別がつかないからです。
 「ノキ弁」の実数を知るためには、本人の申告に頼らざるを得ないのですが、狭い弁護士の世界で、「ノキ弁」であることを公にすることは憚られるので、なかなかカミングアウトすることはありません。
 潜在的にはかなりの数の「ノキ弁」が発生していると思われます。
 私が噂として聞く「ノキ弁」の存在や実態も他の弁護士会のことが多いのですが、やはり他の弁護士会に所属している人には話しやすいからでしょう。
 
 その意味で、各単位会で「ノキ弁」「即独(即時開業弁護士)」の実態調査をしても、実態は明らかになりません。
 日弁連が匿名性を厳重に確保して調査する必要があります。

 ちなみに、私の1人目の「イソ弁」は、私の父親で、もともとは裁判官で、司法研修所で民事裁判の教官も4年間勤めていました。

 父も、昨今の司法改悪による弊害には辟易しており、司法を大事に思い、愛情を持って修習生を育ててきた人間の端くれとして、司法改悪には心から嘆き絶望しています。

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