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弁護士と医師の過失

2011.02.13

 

 先日、某病院で輸血すべき血液を間違えたとの報道がありました。

 「何故こんな簡単な間違いを起こすのか。」非難することは簡単です。
 
 でも、人間は、ミスを犯す動物です。
 非難するだけでは、何も解決できません。
 
 昔は「精神がたるんでいる」と非難して終わっていたかも知れませんが、人間のミスは、精神のたるみから起きることは限りません。いくら精神的にしっかりとしていても、肉体的に疲れていたり、あまりの緊張のために萎縮していてもミスはおきます。受験で緊張しすぎて失敗した経験を誰しも一度は体験したことがあるのではないでしょうか。病院でのミスの場合、精神的なたるみから来る事例は圧倒的に少ないと言えましょう。

 大事なのは、何故、その過失が起きてしまったのか、その筋道を辿り、その過失のルートを絶つことが大事です。

 医師や弁護士のような専門的職業のミスというのは、一般のミスとは異なります。
 特に現代のように医学や医学技術が高度に発展した世の中にあって、医師の行う処置やプロセスも高度化・複雑化しているわけですから、精神論を説くだけでは、逆効果です。 

 医師や弁護士のような高度に専門的職業における過失は、例えて言うなら、F1レーサーに対して「1番になり、かつ、カーブや直線、他車との競り合いといったスタートからゴールに至るまでの全ての行程でミスを犯してはいけない」と求めるようなものです。ちょっとしたミスが大惨事をももたらしかねません。
 公道で一般のファミリーカーを運転する人に対して、「交通事故を起こしてはいけない」というのとはわけが違うのです。
 
 その意味で、弁護士や医師の免許を与える場合には、慎重になる必要があります。
 希望者には誰にでも免許を与えて良いという普通車の免許とは明らかに異なるのです。

 多くの場合、そこが混同して議論されており、なかなか理解されないのが残念です。

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