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司法修習生給費制の復活(その2)

2010.11.21

 

 マスコミの偏頗な報道、特に日経新聞と朝日新聞のかたくなさは、何なのでしょうか。
 昨日付日経新聞の社説「解せぬ司法修習給費の復活」について少し触れましたが、今日もこの日経新聞の社説について書かせて戴きます。
 
 この社説には「国会で決め実施に移ったばかりの制度改革を十分な議論なしで元に戻すのでは、国会の権威は形無しになる。」と書かれています。
 しかし、給費制の廃止に対しては、もともと十分な議論など存在しませんでした。にもかかわらず、性懲りもなく勝手に進められたのです。
 自分の都合の良いときは十分な議論もなしに制度改革を進めておいて都合が悪くなると見るや「十分な議論もなしに」はないでしょう。ご都合主義もここまで来ると噴飯ものですね。
 また、「制度改革」といっても、現在進められているような司法「改悪」であれば、早急に元に戻す必要があるわけで、今回の国会の流れは正当なものであるとの評価も可能です(実際に私は正当な流れに戻ったと評価しています。)。
 要するに、「制度改革」自体に意義があるわけでも何でもありません。
 どんな改革であれ、改革氏さえすればよいということではないでしょう。
 
 だとすれば、「制度改革」の中身を吟味する必要があるはずです。
 にもかかわらず、マスコミは、「制度改革」に反対する者は、それこそ極悪非道な悪人扱いです。
 このような世論操作は止めて戴きたいのです。
 マスコミは、もう少し真面目に議論できないのでしょうか。
 このようなマスコミのあり方を改めない限り、お隣中国の情報統制を笑うことはできないでしょう。
 
 この社説は、続けて「給費制には年間約100億円の国費が要る。」と国費の無駄遣いを嘆きます。しかし、そうであるならば、過去にも書きましたが、年間200億円以上もの大金を使っている法科大学院関連予算の方を廃止すべきです。司法改悪以前には、一円も必要のない予算だったのですから。
 
 更に、この社説は「(司法j修習生のうち)15%が貸与を申し込んでいない。」「経済的に余裕のある人たちにまでお金を出すのは、おかしい。」と書いています。
 しかし、貸与を申し込んでいない修習生が裕福であるわけではありません。
 私は、実際に貸与制を申し込まなかった修習生の話しを聞きましたが、彼女は、決して裕福でも何でもなく、貸与制を申し込む際の保証人を立てることができなかったからです。2人の自然人を保証人として立てられない場合、オリエントコーポレーションの機関保証も受けられます。しかし、彼女は、オリコのような会社に保証してもらいたくなくて、泣く泣く貸与申請をあきらめ、ご両親の老後資金である貯蓄を借りて修習に行くことを決めたそうです。

 マスコミが何故ここまで司法修習生の給費制に対して感情的になるかというと、それは、日経新聞の社説の最後の部分に書いてあります。
 
 「給費制が復活すれば、計画通りに増えていない司法試験合格者の数が、財政の要請で頭打ちになる」という部分です。

 要するに、マスコミは、弁護士の数を劇的に増やしたいだけです。

 何故、マスコミがそこまで感情的になる必要があるのでしょうか。それは、マスコミに弁護士数を劇的に増やすことについて利害関係があるからではないでしょうか。

 マスコミがこれ以上、このような不誠実な報道に終始し続ければ、マスコミの退廃は加速的に進み、我々としては、まともな報道や意見については益々インターネットに頼らざるを得ないでしょう。

 まずは、偉そうなことを言うのならば、マスコミは、自らの改革で再販制度を廃止し、過疎地域に無償で新聞等を配付してから発言して戴きたいものです。 

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