最新情報詳細 一覧へ

< 一覧へ

日弁連法曹人口政策会議の報告

2010.11.07

 

 9月13日の日弁連法曹人口政策会議第1回運営会議では、事務局から論点整理が配られ、10月12日の法曹人口政策会議運営会議では事務局から「中間とりまとめ」骨子案とスケジュール案が配付されました。
 
 その中には、「市民・世論の理解が得られるか。」といった論点の建て方が再三出てきます。例えば、「法曹実務家養成にとってのOJT(オンザジョブトレーニング)の重要性・必要性について市民・世論の理解と支持が得られるか。」といった具合です。
 この背景には、「正論?!そんなこと言っても、市民や世論の理解は得られない。」→「だから、正論を言うべきではない。」という考えが根底にあるのでしょう。

 私は、法曹人口政策会議で、兵庫県弁護士会で市民シンポを行った時の実際の市民の生の声(会場発言やアンケート)を紹介して「市民や世論に正論を訴えれば、市民は必ずや理解してくれます。正論を訴える努力もしないで、何故理解してもらえないと決めつけるのですか?」と意見しましたが、私の意見は無視され、その後も「法曹人口問題についての問題意識を市民や世論に訴えても理解してもらえない。」という言い訳のオンパレードです。
  確かに、マスコミは、まともな報道をしようとしませんし、市民を誤った方向に誘導しようとします。
  でも、だからといって、仮にマスコミが誤った報道を行い、市民が誤解しようとも、だからといって弁護士会が正論を言わないという理由にはならないはずです。
 弁護士会や弁護士は、大げさに言えば、社会全体を敵に回してでも正義や人権擁護のために正論を言い続けるべき存在なのではないでしょうか。
 多数派の顔色を見て言うことを変えるのであれば、弁護士や弁護士会の存在意義はないと言えるでしょう(この意見も何度も申しあげましたが、無視され続けています。)。

 政策会議の中では「市民目線」という言葉も再三出てきます。
 しかし、ここで言う「市民」とは、司法改悪推進論者にとって都合の良い「市民」だけです。
 
 逆に言えば、司法改悪を推進するための合理的な理由付けがなくなってきており、具体的な顔の見えない「市民」や「世論」の声に頼る以外に司法改悪を推進する方途がなくなってきていると言えるでしょう。

pagetop