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「給費制維持は改革に逆行」で何が悪い?!(2)

2010.10.17

 

 青山教授は、表記題名の論文で「厳しい財政状況下で給費制を維持すれば、予算上の制約から法曹人口の増加にブレーキがかかることになりかねない。」と財政上の負担を心配されます。

 以前も申し上げましたが、法科大学院関連予算で年間200億円の予算が使われています。これに対し、司法修習生の給費制に必要な予算は100億円にも満たない法科大学院関連予算の半分の予算額です。
 
 法科大学院制度は、司法改革以前には存在しませんでした。法科大学院関連予算は、司法改革が始まる前には、必要なかった予算なのです。
 法科大学院生は、全員が法曹になるわけではなく、普通に就職をして民間企業に勤める人もいます。これに対し、司法修習生は、ほぼ全員が法曹になります。
 法曹は、多数決により決められる立法・行政によりこぼれおちる人権を事後的に救済する公的な役割を担っています。司法修習生は、「権利の護り手」である法曹の卵であり、公的存在なのです。
 司法修習生に税金による給費が支払われるのは、国会議員の歳費が税金によってまかなわれているのと同様の、裁判官や検察官の給与が税金によって賄われているのと同様の当たり前のことなのです。
 
 「限られた財政」と言うのならば、その公金を司法修習生と法科大学院生のどちらに投与すべきかは、申し上げるまでもありません。
 司法改革後、法科大学院を卒業した弁護士が奨学金や生活費による借金返済に苦しんでいますが、その借金の大半が法科大学院を卒業して司法試験に合格するまでにできた借金です。法科大学院を卒業し、300万円から1500万円の多額の負債を負っています。新司法試験合格の要件として法科大学院を卒業することが必要でなければ、まだ、司法修習生の給費制度を廃止しても影響は少ないかもしれません。司法修習生の給費生を廃止すれば、司法試験に合格するまでの300万円から1500万円の負債に更に司法試験合格後に300万円の生活費としての負債が上乗せされるのです。
 このように諸悪の根源は法科大学院制度にあると言っても過言ではありません。

 厳しい財政上の問題と言うのなら、まずは、法科大学院制度を廃止すべきなのではないでしょうか。
 

 
 

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