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法曹人口問題全国会議アンケート結果

2017.11.23

 

 平成29年9月13日から10月5日にかけて法曹人口問題全国会議が主体となり、全国の弁護士3万5893人に対して、「弁護士人口と法曹養成に関するアンケート」を実施しました。

 添付資料として、アンケート結果を掲載します。

 このアンケートは、約8%の回答率(回答者2879人)でしたが、驚くべき回答結果でした。

 受任件数が「少し減少(23.2%)」「大幅に減少(22.6%)」(問2)とか、「所得」が「少し減少(21.4%)」「大幅に減少(23.9%)」等過半数近い弁護士が事件や所得の減少傾向を感じていることは、十分想定範囲内の結果でした。

 しかしながら、回答は、比較的若い会員の方が割合が高かったにもかかわらず、「法曹の質の確保を考える」と、現在の司法試験の合格判定基準を「低すぎる」と回答した人が57.3%にのぼり(問7参照)、法科大学院の存廃について、「廃止」と回答した会員が過半数を超え(55.5%)たのです。
さらには、「司法試験受験資格の制限を撤廃した上で、法科大学院を残すこと」について「反対」と回答した人が49.6%(問9参照)と半数近くに上りました。
要するに、「予備試験を制限しない」、とか、「法科大学院の修了を司法試験の受験資格要件としない」等といった小手先の修正ではなく、法科大学院制度そのものを廃止すべきという会員が過半数近くに上るのです。

 司法改革以後、司法試験合格者数が大幅に増やされたことから、現在、極端な下膨れピラミッド型の弁護士人口構成をなし、法科大学院を経て弁護士になった人が約過半数存在します。
 本アンケートにおいては、若い弁護士の方の回答率の方が割合的に高く、若い弁護士と中堅以上の弁護士とでは、母数が違うので、司法改革以後に弁護士になった方の回答数が絶対的に多かったのです。
 
 従って、もう少し法科大学院制度を肯定的にとらえている人が多いと思っていました。しかし、現実は違ったのです。

 所属弁護士会の過不足につき「不足(1.2%)」と「少し不足(2.9%)」等、地方の小規模単位会を入れても弁護士人口が足りないと回答した人は、4.1%にとどまり(問4参照)、弁護士過剰事態を皆が実感していることがわかりました。
 
 日弁連も政府も年間司法試験合格者数について1500人を下回らせないように躍起となっていますが、弁護士の実感としては、年間司法試験合格者数800人までで44%、1000人までを加えると80.9%と大半の弁護士が年間司法試験合格者数1000人も要らないと回答しました。

 また、「弁護士としての経済力につき」「不安を感じる」弁護士は、70.1%にのぼり(問10参照)、弁護士の職業的環境と魅力につき「低下した」と回答した人がナント77.4%に上りました。他方、弁護士の職業的環境と魅力につき「高くなった」と回答した弁護士はわずか2.1%しかいませんでした(問11参照)。
 
 そして、司法改革以後、「弁護士の社会的地位及び信頼度につき」「低下した」と回答した弁護士が75.3%(問12)と圧倒的に高く、「高くなった。」と回答した弁護士は、0.8%と1%にも満たなかったのです。

 のみならず、「優秀で有為な人材の法曹離れが発生していると」「思う」と回答した弁護士も「77.7%」にも上りました。

 弁護士の大半がこのような実感を持っているのにもかかわらず、また、法科大学院制度が崩壊の危機に瀕しているのにもかかわらず、未だに「法科大学院へ行こう。」だとか、「弁護士の職業的魅力を宣伝しよう」とか「弁護士になれば、あたかもバラ色の未来が待っている」かのごとく詐欺的商法さながらの宣伝を行い、若い人たちの人生を弄ぶのは、不誠実極まりないと思います。

添付資料添付資料を見る(PDF: 1401 Kbyte)

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