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閉鎖的な法曹養成と開放的な法曹養成

2017.08.28

 

 司法改革以前の旧司法試験が合格率からして閉鎖的との法科大学院協会の理事長のお話がありました(http://www.lskyokai.jp/about.html)。

 では、旧司法試験制度と法科大学院修了を原則必要とする新司法試験制度のどちらが閉鎖的で、どちらが開放的といえるでしょうか。

 この点、旧司法試験制度の方が開放的な制度であるとの結論は明白だと思います。
 
 理由は、新司法試験制度では、①学歴が問われ、②経済的条件にも恵まれ、その上、③時間的余裕のある方しか法曹になれないからです。
 
 新司法試験制度では、前述したとおり、原則法科大学院を修了しなければ、司法試験を受けることができません。
 
 法科大学院は、あくまでも「大学院」なので、四年制大学を出た後に法科大学院までをも修了していなければなりません。
 旧司法試験制度では、学歴は問われませんでした。旧司法試験制度では、小学校しか出ていなくても司法試験にさえ受かれば、法曹になることができました。 もちろん、旧司法試験制度の下で四年大学を出た方が圧倒的に多かったのですが、学歴の有無・内容を問わずになることが制度的に担保されていたか否かは、大きな違いがあります。
 実際、小学校を出て新聞配達をしながら苦学して勉強し、弁護士になったといった経歴をお持ちの方が毎年複数人いらっしゃいました。

 また、旧司法試験は、司法試験に合格しさえすればよいので、お金がなくとも法曹になることができました。
 これに対し、新司法試験制度の下では、四年大学を出た後に法科大学院を修了しなければならないので、法科大学院での学費や生活費が必要になります。
 法科大学院では、授業の出席を取られ、昼間アルバイトをすることはできません。帰宅してからも課題や予習・復習・予備校の授業等で忙しくアルバイトなどとてもできるものではありません。よって、法科大学院の期間は、学費と生活費を自分のアルバイト代で賄うということは事実上不可能です。

 また、旧司法試験制度の下では、司法修習生の期間は、国から月額金20万円程度の給費が出ていました。
 これに対し、新司法試験制度の下では、司法修習期間はの給費制が廃止されました。そこで、司法修習生の期間は、生活費を国から借りる必要が出てきます。来年から月額13万5000円の経済的支援が出るようになったとはいえ、生活がすべて賄えるわけではありませんので、やはり生活費の足らず部分を国から借りることになると思います。

  そのため、新司法試験制度に移行してからというもの、1000万円近い借金を抱えて弁護士登録する人が珍しくありません。


 旧司法試験制度の下では、学歴は問われなかったので、四年在学中に司法試験を受けることもでき、合格すれば四年大学を卒業した年の4月に司法修習生になることができました。大学3年の時に司法試験に合格し大学を中退して司法修習生になる方もいました。
 これに対し、、新司法試験制度の下では、法科大学院の修了が要件になるので、最短でも法科大学院の修了した年の翌年にしか司法修習生になれりません。  例外的に、新司法試験制度の下でも予備試験に合格すれば、大学卒業前しなくても司法修習生になることができますが、法科大学院ルートの抜け道にならないようにときわめて制限されています。
 旧司法試験制度の下では、仕事をしながら司法試験の勉強をすることもできましたが、 前述したとおり、法科大学院の授業に出て帰宅した後も課題等があるので、新司法試験の下では、働きながら司法試験合格を目指すなどということはほとんどできなくなりました。

 このような新司法試験制度下での学歴・経済的ハードル・時間的hハードルを見るにつけ、旧司法試験制度の下で弁護士になった人の多くが「うちは貧乏だったから、現在の制度なら弁護士になれていなかった。」「現在の制度であれば、そもそも弁護士を目指していなかった。」と口ぐちにしています。

 どのように考えても新司法試験制度の方が閉鎖的な法曹養成制度ではないでしょうか。

 新司法試験制度の方が開放的な法曹養成制度であると結論づけるのには、どう見ても無理があります。

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