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弁護士は職業として終わっているのでは?

2017.08.14

 

 最近、本当に登録抹消する弁護士が増えた気がします。
 実際、京都の白浜先生が統計的に抹消者が増えたことを調べてブログに掲載しておられます(http://www.shirahama-lo.jp/blog/index.html)。

 以前(数年ほど前まで)は、死亡による弁護士登録の抹消しか聞かなかったのに、死亡でも何でもなく自ら弁護士登録を抹消する方が増えています。

 自死による死亡登録抹消もちらほら聞きます。
 
 残念なことです。
 
 1か月ほど前に法科大学院協会の理事長メッセージ(「http://www.lskyokai.jp/about.html」)が失望とともに批判にさらされていました(平成29年7月22日付ブログ参照http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/cat_50023031.html

 法科大学院協会の理事長は「弁護士5年目の年収(中央値-経費等を引く前の数字)は1,081万円と、安定した収入を得ています」とのメッセージを送っています。

 しかし、ツイッターにも記載されている通り、経費を引く前の収入の中央値が1081万円ということは、弁護士の大半が赤字経営のリスクを抱えているということを意味します。

 なぜなら、私が独立した当時、弁護士事務所経費は1か月100万円程度が必要と言われており、その通りの経費であったとしたら、1081万円の収入で1200万円の経費を捻出したら、年間120万円の赤字になってしまうからです。
 
 弁護士の必要経費としては、高額な弁護士会費(弁護士会により異なりますが、大体年間50万円程度から100万円程度)、事務所の家賃、事務員の給料や、交通費、その他雑費等毎月結構な額の経費がかかります。

 最近独立する弁護士は、事務員を雇わない、安い家賃の事務所を借りる、コピー機も中古のものを買う、判例検索ソフトは入れない、本を買わない等々経費節減に努めておられます。
 
 しかし、事務員を雇わないと自分で封筒のあて名書きから備品購入、郵便物の仕分けや送付等々雑用をすべて自分でしなければならず、時間が24時間あっても足りなくなってしまいます。そのため、どうしても事務員を雇わざるを得なくなります。また、家賃が安いということは立地条件や広さ等利便性を引き換えにしているわけで、経費節減にはそれなりのリスクも抱えることになります。

 法律相談に行ったら、あまりにもボロボロの事務所でボロボロの恰好をした弁護士が目の前に現れたら、依頼者は安心して人生をゆだねることができるでしょうか。
 弁護士の経費節減と言っても限界があるように思います。

 「弁護士5年目の年収(中央値-経費等を引く前の数字)は1,081万円」ということは、「安定した収入を得ている」には程遠い話であるにもかかわらず、このようなメッセージを責任ある立場の方が発するのはいかがなものかと思ってしまいます。

 

 
 

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