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法科大学院は「無用の長物」か?

2016.10.22

 

 平成28年9月12日のブログで私が「法科大学院、「無用の長物」化が深刻?!」と題する内容を書いたところ、「黒猫のつぶやき」さんが平成28年10月10日の「法科大学院はなぜ「無用の長物」なのか」と題するブログを書かれていました。
 cf) http://kuronekonotsubuyaki.blog.fc2.com/blog-entry-1166.html

 「黒猫のつぶやき」さんのような賢明な方に私のブログを読んで戴き、言及までして戴くなど光栄な限りです。

 ところで、「黒猫のつぶやき」さんの上記ブログの内容はいずれも正しいと思います。
 
 傾向として「黒猫のつぶやき」さんが記載されている内容のようなことも言えるでしょう。
 事実、法曹の質がかなり変容してきたことは多くの法曹が感じていると思います。

 また、私の「あまりにあまりの厳しい言い回し」とのブログの前半部分は、情緒的で論理性に欠ける面があったのも確かです。

 具体的な例を見ると、法科大学院出身者の中でもしっかりとした方はおられますが、制度論は別問題です。

 自己矛盾をきたしているように思われるかもしれませんが、私としては、法科大学院関係者が努力しているからといって、個別に問題のない法曹が存在しているからといって、法科大学院制度が正当化されるとは思っていません。

 努力したら許されるというのであれば、努力した人には全てに法曹資格を与えるべきことになりそうですが、そうではありません。資質に欠ける人等誰でもが法曹になることができたら、司法制度における市民の人権擁護システムが破綻してしまいます。努力したからと言っても裁判に勝たなければ依頼者は許してはくれません。その意味で結果が全てです。
 
 制度論を考える時、個別具体的に良い側面があったとしても、それを上回る悪い側面があったり、あるいは、個別具体的な事情とは別に、制度として悪い制度であれば、その制度は改変すべきです。
 制度としてどうあるべきかを考えなければなりません。

 「黒猫のつぶやき」さんご指摘のように法科大学院が「無用の長物」と言えるかどうか、一つとして良いことがないのかどうかは別として、法科大学院は制度として弊害が大き過ぎると思います。

 「一緒に勉強する良い友達ができたから。」「楽しかったから。」といった程度のメリットで多額の税金が使われて良いことにはならないでしょう。
 ましてや法科大学院制度を正当化できるものではないと思っています。

 法科大学院制度の問題点や弊害はこれまでにも述べてきましたので、ここでは繰り返しません。

 法科大学院に国民の税金が使われ、司法修習生等に対する法曹養成が手薄になっている現状を見るにつけ、全ての法科大学院を廃止すべきというところまで踏み切るべきかもしれません。
 
 現実問題として法科大学院を全て廃止するということは難しいと思っています。
 

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