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弁護士特有の問題ではない?!

2016.01.23

 

 私の書いたブログ「若手弁護士残酷物語」を「黒猫のつぶやき」のブログで有名な黒猫さんが取り上げてくれました。(下記参照)
 < http://kuronekonotsubuyaki.blog.fc2.com/blog-entry-1137.html >

 有難いことです。
 この場をお借りして黒猫さんに御礼申し上げます。

 黒猫さんのご意見は、いつも正鵠を射ています。

 理論的に反論する部分はないのですが、何点か気になったことを指摘させていただきます。

 黒猫さんは、「今の日本で,ブラック企業なんて珍しい存在ではないでしょう。その弁護士バージョンに過ぎません。社会全体で労働者の賃金水準引き下げと非正規雇用の増加が進む中,「ブラック企業」と呼ばれるくらいでなければ市場競争に生き残れないような業界が増えているのと同様,これからの法律事務所は,古い時代の弁護士からは「ブラック」と言われるくらいでなければ,たぶん生き残っていけないですよ。」と言っておられます。

 『悪貨は良貨を駆逐する』とのことわざがあるくらいなのですから、全く黒猫さんご指摘の通りだと思います。

 しかし、私には、それで良いとは思えないのです。

 医師にしても弁護士にしてもその人(患者・依頼者)の人生そのものがかかっています。

 ヤブ医者に治療してもらい命を落としたら取り返しがつかないのと同じで、弁護士によって人生が翻弄されたとしても依頼者の人権は取り返しがつきません。

 一事が万事です。

 ブラック企業の提供するサービスがきっちりしている確率は、はっきり言って低いと思います。

 黒猫さんは、続けて「業界の外に出て冷静に考えてみると,弁護士業界の抱えている問題のうち,日本の弁護士業界に特有のものってほとんど無いんですよね。」と書かれています。

 この部分も全くその通りです。
 でも、「だからこのまま放置しておいて良い」とは、私には思えないのです。

 弁護士以外の業界でも正社員として最低限の文化的な生活以上の賃金が保証され、ブラック企業でない企業が生き残る社会に変えていかねばならないと思います。

 私には弁護士業界だけも変える力がないので、他の業界のことまで手を出すことは到底できませんが、もし、このような実態があるとするなら、弁護士以外の業界、否、社会全体を変えていくべきであって、他の業界がダメになっているから弁護士業界も潰れて良いとは思えません。

 医師や弁護士等といった人権に直結する職業がブラック企業の職業人で埋め尽くされたら、市民は安心した人生を送ることができません。
 
 もともと消費者と業界人とは知識・情報・経験に格差があります。
 いかなる専門家であれ、消費者が専門家と対等に渡り合えるはずはありません。
 専門家に対する正当な評価も非常に難しいです。

 不味いか美味しいかは、素人でも判断がつきます。
 でも、医師の治療や弁護士の活動が適正かどうかは、利用した後になっても正当な評価はほとんどできません。
 病気が治ったかどうか、裁判で勝ったかどうかは、必ずしも医師の治療や弁護活動が適正だったかどうかの判断材料とはならないからです。

 医師の治療が完璧でも病気が治らないこともあります。
 弁護士の活動もそうです。事案の内容や裁判官等々弁護活動以外の要素によっても結果は大きく左右されます。
 逆に言えば、弁護活動が酷いものであっても事案によって勝つこともあります。
 なので、消費者は、医療や法的サービスを利用した後も当該専門家の業務内容の適正さを評価することはほとんど不可能です。

 そのため、医師や弁護士といったきわめて専門的な職業に自由競争は機能し得ません。

 患者や依頼者は、当該専門家の「資格」を信用して人生(身体)を委ねる以外に方法はありません。
  
 「資格」を持った人のところへいけば、ある程度の品質が保証されていないと市民は困るのです。
 そのための国家資格なのですから。

 ということで、微力ではありますが、これからも後輩弁護士、そして、一般市民のために、少しでも良い方向に変えていくべく努力したいと思っています。
 


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