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法科大学院入学者数の激減

2015.11.01

 

 法科大学院の志願者数入学者数が軒並み激減しています。
 司法試験合格率の高い上位校でもそうです。

 それもそのはずでしょう。
 
 弁護士になろうとしたら、2年から3年の法科大学院の学費、最大9年間(未修3年間+5年間+1年間)の生活費を捻出しなければならないのに、弁護士になっても就職先はなく、独立しても赤字経営が見込まれる、莫大な「奨学金」という名の借金返済の目処は立たないのですから、非常に裕福な家庭の学生以外は目指したくても目指せないからです。

 最近の学生や修習生をよくご存じの弁護士から聞いた話では、食うものも食わずに過ごしている学生等に対して「ご飯をご馳走するから町に出ておいで。」といっても学生も修習生も喜んでくれないのだそうです。なぜなら、町に出るまでの往復の交通費がもったいないからなのだそうです。毎日200円から300円のホカ弁を食べ、晩ご飯の支出はその程度で済むのに、それよりも高い往復の交通費をわざわざ捻出して数千円のご馳走をしてもらっても学生等にとっては意味がないとのことでした。

 他方で、普通の家庭では考えられない非常に裕福な学生や修習生が増えたそうです。月額家賃15万円はくだらない2LDKの家に住み、それ以外に親からの多額のお小遣いをもらい、悠々自適の生活をしている学生や修習生が増えているそうです。
 
 勿論裕福な家庭が悪いというわけではありませんが、法曹になるためにあまりにもお金と時間がかかり過ぎるので、前者の学生の方が法曹になるまでに挫折してしまうリスクは高いと思います。

 法曹になるために法科大学院修了を受験資格要件として強制する限り、極論すれば、裕福な家庭以外の学生は法曹を目指さなくなるし、目指せなくなるでしょう。
 
 「地方へ行けば、まだまだ需要はある。」と盛んに叫ばれていましたが、支部でも弁護士を廃業する若手弁護士が出てきているそうです。

 多くの若い人たちの人生を翻弄しておきながら、司法改革を進めてきた人たちは反省する気配は全くありません。

 本当に暗澹たる気持ちになります。
 
  
 
 

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