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国家的資格詐欺商法に荷担したマスコミの必死さ

2015.09.29

 

 平成27年9月23日付け朝日新聞社説に「司法試験不正*委員の任期に制限を」と題する論説が掲載されました。
 
 朝日新聞の上記社説では、「(司法試験考査委員の)期間の制度を設けるよう検討すべきである。」と記載されています。
 
 しかし、後半部分は、司法改革を礼賛し、司法試験の不正を糺すことに関係しない記載ばかりです。 

 例えば、朝日新聞社説の後半では「そもそも、いまの司法試験制度は、法科大学院との連携を前提に始まった。暗記中心の試験をやめ、大学院での教育を踏まえ、まじめに取り組んだ学生なら合格できる。そうしたプロセス重視に改めるのが司法制度改革のねらいだった。」と司法改革以前の制度がいかにも悪かったかのように、そして、司法改革によりいかにも良い制度に改まったかのかのように記載されています。

 しかし、実際は全く逆で、良い制度だったのが司法改革により悪い制度に変わったのです。
 もともと以前の司法試験は暗記中心の試験ではありませんでした。
  
 また、旧試験制度の下では、一部のきわめて例外を除き、真面目に勉強に取り組んでいれば、合格できました。私が所属していた勉強会の人は、遅い早いはありましたが約60人のほぼ全員が合格しました。
 旧試験制度では、このように自主勉強会、自主ゼミ、答案練習会、添削等々を行い、司法修習2年を経て、3年から5年のイソ弁経験を経る等々プロセス重視の法曹養成でした。
 今は、法科大学院を出ても司法修習は1年しかなく、イソ弁経験を経ることのできる人は幸運な人に限られ、プロセス軽視の法曹養成制度に変わってしまいました。

 マスコミは、司法改革で制度が悪くなったことを知らない、というよりも故意に「司法改革は素晴らしかった。昔の司法制度は悪かった。」という誤った喧伝をするのに必死のようです。

 そもそも同日付朝日新聞の社説は、「司法試験不正*委員の任期に制限を」との題名からしても明らかなように、本来の主題は司法試験考査委員の不正を糺すことであるはずです。
 にもかかわらず、同日付朝日新聞の後半部分は、司法改革は素晴らしい目的等があるのであるから、(司法試験考査委員の不正があったとしても)司法改革、特に法科大学院制度を何としても維持すべきで、そのためには予備試験ルートで合格する人を絞らねば「司法改革の理念が形骸化」する等々司法改革の擁護に終始しています。
 
 本社説では、司法試験考査委員の試験漏えい問題について、どこに根本的な問題があるのか、今後、どうしたら不正を防止することができるか等々を論ずるべきで、司法改革の理念などを力説する必要はありません。
 なぜなら、司法改革がいかに素晴らしいものであったとしても司法試験漏えい問題が擁護されるわけでも、それで防止されるわけでもないからです。

 このように、マスコミが司法改革の理念や素晴らしさを論ずることに必死になればなるほど、司法改革がいかに失敗であったかが逆に論証されているように見えるのは、皮肉なことです。

 マスコミが論理的に関係のない司法改革の素晴らしさを論じれば論じるほどマスコミが司法改革の失敗を認識しているであろうことも論証されています。 

 マスコミは、司法制度がここまで壊れたことについて、いつになったら責任を取るつもりなのでしょうか。
  
 

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