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法科大学院の今後

2014.12.16

 

 先日の当会の臨時総会では、「これまで考えたことがなく、会員内の議論が醸成されていない。」、「(例年出している)委任状自体に瑕疵があり、無効な委任状に基づいた総会である。」「他の委員会との調整ができていない。」等々様々なご意見を頂戴したのですが、現在の法曹養成制度がこのままで良いと思われている方がどれほどいらっしゃるのかについては、内容的な審議までいかなかったので、前回の総会では全くわかりませんでした。

 
 ただ、法科大学院志願者数が6分の1に減少し、法科大学院入学者数も3分の1程度に減り続ける等法曹志願者が激減しているこの流れを放置しておいてよいと考える方は皆無ではないかと思っています。

 法科大学院の方では、学費を減額したり、学費免除の枠を拡大する等様々な学生誘致活動を図っています。実務家法曹の履修を推奨する法科大学院も増えていますが、参加する実務家は非常に少ないようです。

 法科大学院の修了を司法試験受験要件と結びつけるには、限界があると思います。なぜなら、司法試験受験資格と結びつけると、司法試験の合格者数を増やさなければならなくなります。そうすると、弁護士の就職難・過当競争による弁護士の経済的基盤喪失は避けられず、弁護士の魅力の著しい低下を招きます。すると、時間と経費等の負担のかかる法科大学院へ入学してまで弁護士を目指す経済的合理性に欠けることになります。

 勿論弁護士の魅力は(今はなき)経済的合理性だけではありません。弁護士という職種は、職務を遂行することで政治的・経済的・社会的弱者の人権擁護・正義の実現を実感することができ、その上、人に感謝されるのですから、これほどやりがいのある仕事はほかにないのではないかと思うほどです。

 しかし、いくらやりがいのある仕事であっても、毎月赤字経営では、弁護士を続けることができなくなってしまいます。家族の人権さえ護れないのに、どうやって依頼者の人権を擁護することができるでしょうか。
 そのためか、最近は、弁護士の自殺や不祥事が急激に増えてきています。

 このように、自己矛盾を抱えているのですから、法科大学院の修了価値を法曹資格に頼っている限り、法科大学院の未来はありません。

 法科大学院修了の価値は、法曹資格ではなく、法科大学院を修了している人には企業戦士としての付加価値がつけられる等理系の大学院のような付加価値を創出する必要があると私は思っています。
 
 法科大学院の修了価値が法曹資格にぶら下がっている限り、法科大学院も法曹資格もどちらも共倒れになると思います。
 
 
 
 

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