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予備試験に対する不当な制限

2014.11.08

 

 11月6日、司法試験を受けるための予備試験の合格発表がありました。
 平成26年度の予備試験の合格者数は、356人だったそうです。
 http://www.moj.go.jp/content/001128458.pdf

 予備試験というのは、司法試験を受験するための資格を取得するための試験で、予備試験に合格すれば、法科大学院修了者と同等に司法試験を受けることができる試験にすぎません。

 予備試験への出願者数1万2622人、受験者1万0347人のうちの356人の合格者ですから(http://www.moj.go.jp/content/000123593.pdf)、3.44%の合格率ということになります。

 予備試験は、不当に制限され、受かりにくくされています。

 一つは、予備試験の試験科目を多くして、難しい問題にすることにより、受験自体を控えるようにされています。例えば、予備試験は、まず、憲法、行政法、民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法、一般教養科目の7科目について短答式試験が実施されます。更に、論文試験が、実に9科目(憲法、行政法、民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法、一般教養科目、法律実務基礎科目)について実施され、その後、口述試験まであります。
 これに対し、司法試験は、短答式試験科目は、公法系、民事系、刑事系の3科目で、論文試験も、公法系科目、刑事系科目、選択科目、民事系科目だけの3科目しかなく、口述試験もありません。

 予備試験は、単なる司法試験を受けるための予備的な試験であるにもかかわらず、司法試験を凌駕する科目数と難易度となっているのです。

 人数の点に絞っても、予備試験合格が不当に制限され、異常に難易度の高いハードルを課されていることがわかります。
 昨年平成25年の予備試験合格者数は351人で、そのうちの244人が今年の司法試験を受験しました。そして、予備試験ルーを経由して司法試験を受験した244人のうち何と163人が司法試験を最終合格しました。予備試験組での最終合格律は、66.8%になります。
 これに対し、法科大学院修了組は、受験者数7771名中1647名しか合格していません。割合にすると21.2%に過ぎません。
 予備試験が法科大学院修了と同等の法的素養や知識を確認する試験である以上、本来、予備試験合格者数を3倍程度に増やさなければならないはずです。

 司法試験第5条には、予備試験は、法科大学院と「同等の学識及びその応用能力並びに法律に関する実務の基礎的素養を有するかどうかを判定することを目的」としており、法科大学院組と予備試験組とでは、同じ合格率にならなければ法律違反となるのです。

 平成20年3月25日の閣議決定には、「法曹を目指す者の選択肢を狭めないよう、司法試験の本試験は、法科大学院修了者であるか予備試験合格者であるかを問わず、同一の基準により合否を判定」「本試験において公平な競争となるようにするため、予備試験合格者数について」「予備試験合格者に占める本試験合格者の割合と法科大学院修了者に占める本試験合格者の割合とを均衡させるとともに、予備試験合格者数が絞られることで実質的に予備試験受験者が法科大学院を修了する者と比べて、本試験受験の機会において不利に扱われることのないようにする等の総合的考慮を行う」とされています。

 予備試験ルートの合格率66%と法科大学院ルートの合格率21%とを比較するといかに予備試験合格のレベルを上げて予備試験を経由しないよう不当に制限されているかは明白であり、上記閣議決定にも司法試験法第5条にも著しく反していると言えます。

 
 
 
  

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