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法曹志願者からの相談

2013.09.08

 

 先日、知人の甥御さんから将来についての相談を受けました。

 その方は、某有名大学に在学中の方で、法科大学院に進学して法曹を目指すべきかどうか悩んでおられるとのことでした。
 その方は、私がどのような活動をしているかについてもインターネット等を通じて既にご存じで、その上で私に話を聞きたいとのことでした。

 もちろん私は、弁護士、特に若手弁護士を取り巻く現状を率直にお話しさせて戴き、最後に「弁護士としての仕事は非常にやりがいがあるが、これから就く職業としてはあまりお勧めできない。」旨申し上げました。

 彼は、非常に賢明で、かつ、正義感が強く、優しい方でしたので、本来であれば、是非とも弁護士になってもらいたいと思える方でした。

 しかし、とても良い人だからこそ、その青年の将来を思うと無責任に弁護士になることを勧めることなど到底できませんでした。
 自分の就いている職業を後輩に勧められないというのはなんと情けないことでしょうか。
 そうはいっても、その青年の人生がかかっているのです。
 

 その後、その青年から聞いたのは、意外な言葉でした。


 「実は、現在、法科大学院に通っている先輩から『お前はいいやつだから、法科大学院に来て法曹を目指すな。』『法科大学院の授業は酷い内容だ。』『弁護士になっても未来が見えない。』『法科大学院に来てもお金と時間ばかりがかかるだけで絶望的な未来が待っているだけだ。』『俺なんか、すでに法科大学院に入ってしまい、後戻りができないからここにいるだけで、お前ならまだ引き返せる。悪いことは言わない。法科大学院には来るな。』と言われました。」

というのです。 
 

 私が彼の言葉に驚いていると彼は「1人の先輩だけから言われたわけではありません。僕が聞いた先輩皆から同じことを言われました。」と言うではありませんか。

 勿論法科大学院で素晴らしい授業をしておられる教員もおられると思います。

 しかし、その青年から聞くところによると「良い授業をしているのはむしろ少数で、多くが聞くに堪えない授業」なのだそうです。
 
 一番気の毒なのは、この司法改悪に翻弄された法曹を目指す人であることを改めて強く感じました。

 私は、平成25年7月号の消費者法ニュース96号に「法科大学院という名の消費者被害」という原稿を掲載して戴いたところでしたので、現実は我々が考えているよりも深刻になっていることに驚きました。
 司法制度改革に携わる人は学生や法科大学院生の声をもっと聞くべきです。
 
 そして、これ以上の消費者被害を増やさないで欲しいです。
 
 そのためには、一刻も早く法科大学院修了資格を司法試験受験要件から撤廃することであると思います。


 
 

 

 

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