最新情報詳細 一覧へ

< 一覧へ

法曹養成検討会議鎌田委員の意見

2013.03.09

 

 法曹養成検討会議の第8回の議事録で鎌田薫委員(早稲田大学総長)の下記発言がインターネット等で批判されています。

                記
(引用はじめ)
 「若い法曹志願者を養成する立場にある者といたしましては、」「手厚い支援をすべきであると」いうのは「大変ありがたいとは思っていますが、その原資を法科大学院に対する財政支援を削ってということについては絶対に賛成できないということだけ申し上げておかなければならないと思っています。」
(引用終わり)

 鎌田委員に対するインターネット上での批判の多くが至極正当であり、私は、ここで屋上屋を重ねたような批判を繰り返すつもりはありません。

 私がここで指摘したいのは、鎌田委員の発言には過去のご自身のご意見との整合性が保てるのかということです。

 私が別人を鎌田委員と取り違えているのであれば、ここでお詫び申し上げるほかはないのですが、鎌田委員(早稲田大学法学部教授当時)が共著で出版された「ロースクールを考える 21世紀の法曹養成と法学教育」(成文堂)の鎌田委員(と思われる方)の執筆部分を下記に引用させていただきたいと思います。
 ※上記「鎌田委員と思われる方」と付け加えているのは、あまりにも現在のご発言との整合性がなく、同じ大学で同姓同名の別の教授が存在するのかとさえ思えることから付け加えさせて戴いております。
                 記
(引用はじめ)
 「このままの勢いでロースクールの創設に向けて突き進んでいくことには、大きな懸念を抱かざるを得ない。少なくとも今後数十年の法学教育や法律家のあり方を決める大改革である割には、教育目標や教育内容等の具体的な部分での議論が不足しているように思われる。」

 「実際問題としても、ロースクール構想は、「プロフェッションとしての法曹(裁判官、検察官、弁護士)の質と量を大幅に拡充する」ための中核的な手段とされているのであるが、全国に存在する法学研究者の数やロースクールを設置するための経費などを考えると、これによってそれほど多くの法曹を養成できるようになるとは思われない。また、少なくとも「中間報告」や「意見書」の提案する程度の教育内容で現在よりも優秀な法曹が大量に養成できるようになるとも思われない。それに対して、ロースクールの設置に伴って国庫や学生の課される財政的な負担は現状よりはるかに大きなものになると予想される。それらを総合して一言に要約するならば、「期待される成果に比べて、あまりにも負担が大きすぎる」ということができるであろう。こうした国民的な負担を考えるならば、ロースクールを作ることをやめるか、それを作ること自体は否定しないまでも、ロースクールを修了することを法曹になるための不可欠の条件とすることは避けるのが賢明であるように思う。それよりも、法学部教育の充実、司法試験の実施方法の改善」「実務修習体制の一層の拡充」「を図った方が、はるかに安価で効果的に良質な法学教育を実現し、法曹になるための門戸も大きく広げることができるように思う。」
(引用終わり)

 (続く)

pagetop