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3分の1要件の改定手続き

2013.01.13

 

 日弁連会長選挙の際、最多得票者が3分の1の単位会において多数を獲得しなければならないとの日弁連会長選挙規定を現執行部が改定し、廃止しようとしています。

 以前にもこのブログで申し上げましたが、日弁連は、その名の通り、各単位会の連合会です。すなわち、日弁連は、単位会と会員と両方構成員からなるのです。 例えば、日弁連の総会においては、会員以外にも各単位会自体が投票権を持っています。また、日弁連の会務運営の意思決定等を行う日弁連理事会では、各単位会の会長が理事者として理事会構成員となります。各会員は日弁連理事会に傍聴はできますが、発言権はありません。
 このように日弁連が各単位会の連合体であることを重視すれば、2分の1の単位会において最多数を獲る人をもって会長とすべきとの選挙改定を行ってもよいくらいなのです。
 
 ところが、今回、日弁連から提示された会長選挙改定の選択肢には、「3分の1要件をいつ外すか」といった選択肢しか提示されませんでした。

 会長選挙規定を改定するべきかどうかの前提議論は、日弁連の意見照会には全く出てきません。あくまでも会長選挙規定を改定すること、かつ、3分の1の要件を撤廃することが当然の前提となっているのです。

 各単位会に意見照会するのに「会長選挙規定を改定するか否か」についての意見照会さえ行われず、会長選挙規定を改定する以外選択肢がないかのごとき意見照会は、あまりにも乱暴な意見照会と言われても致し方ないのではないでしょうか。

 会長選挙規定改定の委員会において、昨年8月に行われた第1回の会議から2か月足らずの単位会意見照会が行われるまでのきわめて短期間の間に「会長選挙規定を改定するべきかどうか」が議論されたとは到底思えません。
 また、会長選挙規定の改定の選択肢として、「3分の1要件を撤廃する」方法以外の選択肢が議論された気配もありません。
 なぜなら、各単位会に行われた意見照会には、「3分の1要件をいつ撤廃するか」といった選択肢は出てきますが、その他の選択肢が出てこないからです。
 

 しかも、各単位会に対する意見照会の期間は、たったの2か月から3か月あまりときわめて短期間でしかありません。年末年始を含めて3か月あまりなのですから、単位会の意見をさえ聞く気がないとの批判も免れないでしょう。 

 本来は、日弁連会長選挙を改定するという各弁護士の弁護士業務、司法制度の根幹に影響を与える重要な問題については、せめて全国の会員にアンケートを実施する等して各会員の意見聴取をすべきなのではないでしょうか。
 
 昨日のブログにも書きましたが、弁連会長選挙規定改定を議論する委員会には、兵庫県弁護士会のように委員を選出していない単位会もあるのです。
 
 このような重要な問題について、もし、単位会に意見照会をすれば足り、各会員から丁寧に意見を吸い上げる意見照会をする必要がないと日弁連が判断しているとするのならば、日弁連の会長選挙の際も2分の1以上の単位会で最多数得票数を獲得した人でなければ日弁連の会長にはなれないとするのが、むしろ理論的な筋というものでしょう。

 今回のような意見照会による強引な日弁連会長選挙規定の改定は、容認されるべきではないと思います。
 
 
 

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