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神戸大学での最後の授業

2011.01.29

 

 1月27日、私の担当する神戸大学での最後の授業が終わりました。
 私が担当しているのは、「消費生活と法」という授業で、半期の授業を弁護士数名でリレー形式で講義を担当するものです。

 私が担当するようになってから、何年が経つでしょうか。
 担当させて戴いた当初は、大講義室が溢れんばかりの250名程度の学生が大変熱心に聞いてくれました。その分、「このような授業で本当に良かったのかしら?}と悩んだものです。

 昨年は、学生が非常に減り、80人程度だったでしょうか。
 最後の授業の学生も80人程度と非常に少なく、「こんな授業で良かったのか。」との不安は最後まで消えませんでしたが、とりあえず最後の授業を終えることができて肩の荷が下りたような気がします。
 
 実務家教員は、大学の研究者と同程度の知識を学生に教えることはできません。
 学生も実務について聞かされてもどうもピンとは来ていないようでした。

 私が担当させて戴くようになった最初の1・2年は、学生が皆あんなに熱心に聞いてくれていたのに、年々退屈そうな態度を隠そうとしなったような気がして寂しく感じました。
 
 それにしても、授業の途中で部屋を出て行かれると、傷つきます。
 私が他の弁護士にその話をすると、「そんな当たり前ですよ。」と笑われ、慰められましたが、何とも複雑な思いがします。

 法科大学院が創設され、大学の人(教授)もお金もエネルギーの大半を法科大学院に奪われ、学部が空洞化しています。その穴埋めとして、実務家教員を安価に利用するのが手っ取り早いということなのでしょうが、授業のレベルはどうしても下がると思います。また、他方、教授陣は、研究よりも法科大学院や学部や院生の指導に翻弄され、大学の研究レベルも下がる一方です。大学自体も法科大学院の維持運営に莫大な費用を掛けざるを得ず、法科大学院は、少子化でただでさえ逼迫する財政を更に圧迫しています。学生は、司法試験を受けようと思うと、莫大な時間とお金のかかる法科大学院を卒業せざるを得ません。

 法科大学院は、何のメリットもない制度だと思います。

 一刻も早く法科大学院は廃止すべきでしょう。 

 
 

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