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司法修習生給費制の復活

2010.11.20

 

 司法修習生の貸与制以降が1年間延期されるようです。
 報道によると、民主、高名の両党が貸与制を1年間停止して給費制に戻す再改正案を今国会に提出することで合意ができ、自民党も法務部会で同調する方針を決めたようです。
 政治家にも良識ある人が残っているようで良かったです。
 
 それにしても日経新聞などは悪意ある報道が未だに続いています。
 「法曹になれば、社会的な地位と水準以上の収入が期待できる。」 等とふざけた内容を平気で書けるのですから、あきれて物が言えません。
 裁判官や検察官は知りませんが、弁護士の社会的な地位や収入は既に地に墜ちているではありませんか。
 私が一般の人とお話をしていても「生活できない弁護士さんが沢山いるそうですね。大変ですね。」と同情されることが最近では、しばしばあります。
 
 実際、今年の一括登録日には、ノキ弁(原則給与のない弁護士)、即独(いきなり開業すること。これも当然給与はありません。)先も見つけられず、弁護士登録自体を見送る人がナント「300名」もいると言われています。
 給与のないノキ弁・即独を併せると生活できないと思われる弁護士は500人で済まないでしょう。
 このように言うと、「結局、弁護士の経済的問題なのか。」と言われます。
 しかし、そうではありません。

 私は、もともと弁護士としてある程度難しい試験にしておく必要があると思っています。
 弁護士は、医師と同様に人権を直接切り刻むある意味「危険な」職業ですから、一定の水準を超えられない人に弁護士資格を与えるべきではないでしょう。
 ただし、仮に弁護士に対する社会的需要があるのであれば、すなわち、弁護士に対する需要に比べて供給が少なすぎるのであれば、緊急避難的に弁護士を増やす必要があると思います。そのような場合であれば、弁護士が経費捻出に困って悪いことをするとのリスクも少なくて済みますから。そのため、第二次的に弁護士に対する需要を検討する必要が出てくるわけです。

 しかし、今のように弁護士に対する社会的需要が大して存在しないにもかかわらず、司法試験を誰でも受かるような試験にしてしまい、毎月赤字経営に苦しむ弁護士を大量発生させれば、経費捻出のために人権侵害行為をしてしまう弁護士が現れても不思議ではありません。そのような事態が来ることが分かっているのに、何故、無理矢理ウソをついてまで弁護士を大量生産・粗製濫造しなければならないのでしょうか。

 人権を扱う怖い職業なのですから、需要に応じた供給にして、その変わり給費制及びちゃんとした就職先が見つかるようにして質の高い法曹を作り出すことの方が社会にとって望ましいことであると私は思います。

 

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