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接見室が足りない

2010.08.16

 

 被疑者国選が実施され、刑事被疑者に接見に行くべく警察署に行っても、接見室が1つしかないことから、被疑者と会えないということが、急激に増えました。

 被疑者は、通常勾留期間10日のうちに起訴されますので、10日のうちに何度か接見に行く必要があるのですが、警察署には、普通複数の被疑者が勾留されています。それぞれ被疑者についている弁護士が接見に来ても、誰か一人の弁護士が接見室を使うと他の弁護士は接見できなくなってしまいます。
 弁護士だけでなく、家族等の一般面会者も接見室を共有して使いますので、一つの接見室をめぐり複数の弁護士と一般の人とがかち合うこともあります。
 一つの椅子を複数の人で取り合う「フルーツバスケット」さながらです。

 私は、何度か、かなりの時間警察署で待たされ、結局、時間が無くなり、泣く泣く事務所へ帰らざるを得なかったという苦い経験から、警察署に行く前には、必ず他の接見予定がないかどうかを確認してから行くことにしました。
 
 この点、日弁連が「何時間、何回待たされましたか。」とのアンケートを実施していましたが、このアンケートは意味がほとんどありません。なぜなら、多くの弁護士が、あらかじめ警察署に連絡して他の接見予定を知らされた時点で、接見に行くことをあきらめ、警察署で待たされることを極力避けるようにしているからです。

 私の場合、日中の接見を避けるようになった結果、被疑者に接見に行くのは、朝早くとか、夜10時とか11時といった夜遅くに警察署に行くことが増えました。

 警察署で、夜遅くに接見に行くと弁護士に見えないせいか、事件に巻き込まれて警察に駆け込んで来た被害者と誤解され、受付の警察官が殺気立つことが多く、その都度、大変恐縮していました。

 最近では、すっかり顔を覚えられて、このように恐縮することも少なくなりましたが、被疑者国選の拡大によって足りないのは、「弁護士」の数ではなく、警察署内の「接見室」の数です。
  これは間違いありません。


 

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