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郵政民営化の何が良いのかわからない

2010.06.02

 

 昨夜の報道番組で、郵政民営化を擁護する大学教授や竹中平蔵氏や小泉進二郎氏が盛んに郵政改革法案可決について異を唱えていました。

 例えば、某大学教授は「郵貯の金額の上限を2000万円に上げるのは、郵貯が上手くいっていないからだ。上限を引き上げるべきではない。」とか、竹中氏は「民から官に移行して上手くいくはずがない。」、小泉氏は「民主党の中にも『自分は反対』と言う人がいるはずだ。」といった具合です。マスコミ自体も郵貯が民営化された後も貯蓄総額が減り続けていることについて報道していました。

 しかし、民営化されても郵貯額が減り続けていたというのは「官から民」へ移行しても郵貯銀行の運営が全く上手くいっていなかったということの証左にほかならないでしょう。従って、竹中氏の論理は、既に破綻しています。「官から民」への移行が必然であるという論理的根拠が全くわからないのです。
 また、郵政民営化を推進すべきというのであれば、他の民間銀行と同様に上限枠を設けず自由競争させれば良いではないですか。竹中平蔵氏によれば、自由競争で競争させれば全て上手くいくと仰るわけですから。なのに、民営化を推進すべきとの論旨で、且つ、上限を設けるべきと言うのは論旨が一環していません。

 結局、郵政民営化に関するこれら報道は全て司法改革同様、エコ同様、雰囲気だけで、いずれも論理的に筋が通らないものばかりです。小泉氏のコメントに至っては、(マスコミ報道を見る限り)論理自体が存在しません。

 そもそも、郵政民営化を進めてから数年が経ちますが、何故郵政民営の方が良いのか、その理論的根拠が全くわかりません。

 ゴルフ場、ホテル、金融業、これら民営企業の顛末は、その少なくない企業が法的整理あるいは事実上の倒産に追い込まれ、安く外資に買い叩かれ、多くの事例で、わが国の資産が外国(企業)に流れてきたことを忘れてはなりません。
 多額の郵貯が同じ運命を辿らないという保証はありません。

 それどころか、年次改革要望書にあるようにアメリカが郵貯を何ゆえ執拗に求めてきたのか、その理由を考えなければなリません。

 郵政民営化が本当に推進に値するものであるというのであれば、論拠を示すべきですが、未だに「官から民へ」とのお題目を繰り返すだけで、その論拠を示せないところを見ると、結局、その理由は存在しないと判断せざるを得ないでしょう。
 

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