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日弁連の給費制シンポ

2010.05.19

 

 昨夜、東京の日弁連会館で行われた給費制(※))のシンポに参加してきました。

 まずは、宇都宮会長の挨拶で始まり、次に新63期修習生の発言があり、その後、劇団あおばによる寸劇が行われ、対談、来賓挨拶、会場発言、基調報告、各界からの発言と内容は盛りだくさんでした。

 印象的だったのは、やはり新63期修習生の発言と受験生の発言でした。
 
 新63期修習生は「現在、480万円の借金を抱えています。でも、生活費と学費で借金を1000万円抱え、電気を止められるような生活を送っている知人もいます。新制度でロースクールなど長く学校に通わざるを得なくなり、親も高齢化しており、よほどのお金持ちでない限り皆借金を抱えています。日弁連のアンケートでは、借金を抱えている修習生の平均借金額は318万円ということですが、私の実感では皆もっと多額の借金を皆抱えています。」「修習生はアルバイトが禁止されており、返済ができません。修習生の給費制がなくなるとただただ借金が増え続けるだけです。給費制がなくなるからということで弁護士になる夢をあきらめた知人もいます。」などと発言されました。

 また、会場に来られていた司法試験受験生は「高校生のとき、父の会社が倒産し、その後、父が他界しました。母と2人暮らしで生活していますが、どうしても生活費として月額20万円くらいを借りないと生活できません。そのため、現在では、生活費と学費で950万位の借金を抱えています。一部については返済免除を受けられそうなのですが、それでも、このまま修習生の給費制がなくなると確実に1000万円以上の借金を抱えなければならなくなります。受験生は、目の前の受験勉強で余裕がありません。弁護士の方々に頑張ってもらわないと夢をあきらめざるを得なくなる人がたくさん出ます。弁護士の先生方がお忙しい中で大変だとは思いますが、お願いです。給費制維持のために力を貸してください!!」と発言されました。

 さらに、新人弁護士の待ち受ける現実は、現在抱える借金だけではありません。
 弁護士としての就職難、給与や勤務時間、活動制限等労働条件の悪化、独立を余儀なくされ、事件もないという現実が待っています。

 司法改革による法科大学院がいかに受験生に多大な負担を強いているかは明白です。その上、修習生の給費制がなくなれば、よほどのお金持ちの子弟しか法曹を目指すことができなくなります。
 
 また、法曹の給源が狭められ、その中で2000人~3000人が合格するわけですから、質が低下しないはずがありません。

 寸劇の中で架空の修習生が机を立てていった発言は本当に実感がこもっていました。
 
  「一体誰がこんな制度にしたんだ!!」
 
 その大きな責任は私達弁護士であることを常に自戒しながら、これからも活動を続けねばならないと思います。

※ 「給費制の廃止」・・・司法試験合格後、裁判官・検察官・弁護士になる前に、1年間(以前は2年間)研修を受ける研修生を「司法修習生」と言います。これまで司法修習生には給与があったのですが、今年11月からは給与制が廃止され、毎月支給される給与相当額が貸与される制度になることを言います。

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