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弁護士のエゴか?

2010.04.05

 

 臨時総会では、「弁護士人口の減少を叫ぶのは弁護士のエゴだ。」とのご意見が出ました。
 しかし、そもそも年間の司法試験合格者数を1000人にするとしても、弁護士人口は激増していきます。将来の弁護士人口シミュレーションでは、低位予想でも、年間1000人でも、4万5000人になり、3万8000人程度で自然減と自然増がほぼ均衡すると計算されています。現在の弁護士数は2万8000人程度ですから、年間1000人にしても、大幅に弁護士人口は増え続けていくのです。
 従って、年間司法試験合格者数を1000人にするという当会の決議は、弁護士人口の減少を叫ぶものではありません。

 また、私達は自分達の経済的利益のみで激増に反対しているわけではありません。総会決議の決議文にも弁護士の経済的利益についてはほとんど触れられておりません。

 私は、弁護士激増を叫ぶ弁護士の方が「エゴイスト」だと思います。なぜなら、弁護士激増を叫ぶ理由として「自分達がよく見られたい」との理由以外に激増を叫ぶ合理的な理由が見つからないからです。
 これだけ、弁護士による消費者被害が増え、かつ、以前のような充実した教育を受けられずに就職先もなく世の中に放り出される弁護士が溢れかえっているのに、それら社会的弊害には目をつぶり弁護士激増ばかりを叫ぶ弁護士は自分が他人から良く見られたい一心で激増を叫んでいるとしか私には理解できません。

 「そうでない」と仰るのなら、自分達が他人からよく思われたい以外に激増を叫ぶ合理的な根拠を示して戴きたいものです。

 弁護士激増により不利益をこうむるのは、市民であり、若手弁護士です。

 これに対し、弁護士のエゴという言葉を持ち出す人は、これまで自分達がまさに既得権益を十二分に享受してきた中堅以上の弁護士ばかりです。言葉では、「弁護士自ら血を流さなければならない。」と言いながら差し出す「血」は他人の血なのです。

 「弁護士自らが血を流すべきだ。」と言われる方には、まずは、顧問先や蓄財を全て放出し、多額の借金を抱えて、毎年数十名ずつの弁護士を雇って実務家としての教育を十分施し、あるいは、過去の依頼者等からの事件紹介を受けられないほど地方の司法過疎地に出向き、独立開業をすべきです。

 まずは、自ら血を流してから、他人に「血を流せ」と言って戴きたいと思います。

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